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BURNED ONE(バーンド・ワン)

谷英樹

マジック・マーケット2020価格 3,000円

【現象】

 パケットケースを開くと1枚の裏向きのカードが入っています。観客に灰皿とライター、そして1組のデックもイメージしてもらい、その中から絞り込んで1枚のカードを選んでもらいます。そのカードの角が炎で焼けていく様子をイメージしてもらい、パケットケースを開けて見ると先程見たカードの角も焦げています。取り出して表向けると、まさしく観客がイメージしたカードなのです。カードは手渡し可能です。

 この現象を聞いて、ジョシュア・ジェイの『インフェルノ』を思い浮かべる人も多いと思います(私もそうでした)。カードを燃やしていくという演出やエキボック3回だけでカードが決定し、しかも最後の選択がかなりフェアであるところなど似ている部分も多いですが、決定的に違うのは現象が予言だけでなく、その手前でカードがイメージ通りに焼け焦げているというビジュアル的な変化現象も見せられるところでしょう。

 細かい部分だと、カードの最終決定における選択肢が『インフェルノ』だと1/4、『バーンド・ワン』だと1/6という違いがあります。選択肢が多いほど優秀かというと一概に言えないところではありますが、『バーンド・ワン』の場合、実際の1/6の確率よりももっと選択肢が多いように錯覚させる要素が若干ある分、不可能性がより高まっている気がします。エキボックの手法にも作者である谷さんのこだわりが感じられ、特に丁寧に解説されているので勉強になります。

 そして私が最も気に入ったのはパケットケースに施すちょっとした素晴らしい工夫です。実は谷さんとオンライン・セッションをした時にそのアイデアを直接聞かせていただき、そのちょっとした工夫がもたらす効果に思わず感激して『バーンド・ワン』がどのようなマジックなのか知らないまま購入を決めたほどです。話が少し逸れますが、何かアイデアそのものを教えてもらったり、直接でなくともアイデアのきっかけを与えてもらったら、どのような形でも良いからお礼をするように心掛けています。商品として存在するなら秘密を知っていてもそれを購入するのが最もフェアなお礼だと思います。本当になぜ今まで自分で気づかなかったのか?と思うくらいちょっとした工夫なのですが、それで得られる効果は絶大です。観客に与える説得力が段違いですので、購入された方は是非試してみてください。

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